教育基本法では、大学には教育、研究、社会貢献の3つの機能を適切に果たすことが求められている。そのため、大学教員の活動もこれらの機能的観点から総合的かつ適切に評価され、所属組織内での動機付けや個人のキャリアパス開拓につながることが政策的理想である。
ところが、国の審議会等においては、教育や社会貢献の取組が適切に評価されずにキャリア形成に有利な研究活動に注力するインセンティブが働いている、またはその逆として教育や社会貢献活動は重要ではあるものの実際に現場の大学教員等が優先して取り組む動機がない、さらに教育・研究・社会貢献への取組に忙殺され教員等が疲弊している、といった理想とはほど遠い現実が指摘され続けている。これらの指摘を踏まえ、個々の機能に対応する政策担当部署によって改善が図られてはいるものの、その影響の全体を俯瞰する視点が欠けているため、真に適切な改善策を講じることができていない。
このような状況を踏まえ、本プロジェクトでは、「大学教員の活動を俯瞰的に把握・評価するために必要な政策的議論の枠組みが欠けていること」を政策課題として設定するとともに、この解決に向け異なる大学間の組織及び所属教員等の比較分析を通じ、基礎モデルを構築・提案することを目指す。大学評価の側面で見るならば今回のプロジェクトでは、ストークスの4分類も活用して、大学教員の産学連携・地域連携活動に対する職責と評価のあり方を検討するものである。